こちらの記事のポイントは？
「玄関の引き戸の鍵が、急に開かなくなってしまった！」このような引き戸の鍵の突然のトラブルに直面し、焦っていらっしゃるかもしれません。ご家族が家に入れず困っていたり、防犯面での不安を感じたりしていることでしょう。
この記事では、今すぐ試せる応急処置と絶対にしてはいけないNG行動について詳しく解説します。また、鍵が開かない本当の原因や鍵の交換や後付けにかかる費用相場、DIYでできる範囲とプロに任せるべき理由についても説明します。
まずはこの記事を最後まで読み、正しい知識を身につけて、引き戸の鍵トラブルを解決しましょう。
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引き戸の鍵が急に開かない時に自分でできる応急処置は？
玄関の引き戸の鍵が急に開かなくなってしまったら焦ってしまうでしょう。まずは以下の3ステップを試してみてください。
鍵と鍵穴の掃除
意外と見落としがちなのが汚れです。まず、お使いの鍵が汚れていないか確認してください。
鍵のギザギザした部分や、ディンプルキーのくぼみを使い古しの歯ブラシなどで軽く掃除します。
次に鍵穴です。
掃除機のノズルを鍵穴に当てて、内部のホコリやゴミを吸い出します。もしエアダスター（PCのキーボード用など）があれば、数回吹き付けるのも有効です。
鍵専用の潤滑剤を使う
掃除をしても改善しない場合、滑りが悪いだけかもしれません。ここで使うのは鍵穴専用の潤滑剤（パウダースプレー）です。
必ず速乾性で粉末（パウダー）タイプと書かれたものを選んでください。もし専用スプレーがない場合、鍵のギザギザ部分を鉛筆（Bや2Bなど濃いもの）で強めになぞり、黒鉛の粉をつける方法でも代用できます。
鍵を差し込み、ゆっくりと抜き差しして馴染ませる
専用潤滑剤、または黒鉛をつけた鍵を鍵穴に差し込みます。この時、まだ回そうとせず、ゆっくりと抜き差しを5〜10回繰り返します。
パウダーや黒鉛がシリンダー内部に行き渡り、滑りを良くします。その後、ゆっくりと鍵を回してみてください。
鍵が開かない・回らない時に絶対にしてはいけないNG行動
これさえしなければ修理できたのにと、後になって頭を抱えるケースは後を絶ちません。焦る気持ちはわかりますが、以下の3つの行動は絶対に避けてください。
鍵穴に食用油や市販の潤滑剤を差す
食用油や市販の潤滑剤（CRC-556など）を差すのはNGです。
油分を含む潤滑剤は、一時的に滑りが良くなったように感じます。しかし、鍵穴内部の精密な部品にホコリやゴミが粘土のように固着します。
結果、数週間後にはシリンダーが完全に詰まり、修理可能だったものまで高額な鍵交換をするしかなくなります。
鍵を無理やり力ずくで回す・ガチャガチャ揺する
あと少しで回りそうという感覚は危険です。鍵が回らないのは、内部で何かが（摩耗した部品、ゴミ、ズレなど）物理的に干渉している証拠です。
力任せに回すれば、鍵がシリンダーの途中で折れてしまう可能性があります。鍵が中で折れると、解錠作業の難易度が跳ね上がり、費用もかさみます。
針金やヘアピンなどで鍵穴をピッキングしようとする
鍵穴（シリンダー）の内部は、精密なピンで構成されています。針金などを差し込む行為は、このピンを傷つけたり、曲げたりするだけです。
鍵穴が内部から破壊されると鍵開けの専門業者でも解錠が困難になり、最終的には破壊解錠という選択肢しか残らなくなる場合があります。
応急処置でも引き戸の鍵が開かない原因は？
応急処置を全部試したけど開かない場合、問題はホコリや潤滑切れといった単純なものではありません。
考えられる原因は、大きく分けて以下の2つあります。
鍵本体（シリンダー・錠前）の故障
鍵（錠前）は機械部品です。長年使えば、内部の部品が摩耗したり、バネが折れたりして経年劣化で故障します。
特に10年以上使っている鍵は、いつ寿命が来てもおかしくありません。
鍵以外の問題（引き戸本体・建付け）
鍵は回るのに引っかかって開かない、引き戸の開け閉め自体が重かったという場合、原因は鍵ではありません。以下の可能性があります。
- 引き戸の開閉をスムーズにする戸車という車輪がすり減ったり、破損したりしている
- 地震や経年で建物自体がわずかに歪み、引き戸本体と枠が干渉し、ストライク（錠受け）の位置がズレている
この場合、いくら鍵を修理しても問題は解決しません。
引き戸の鍵にはどんな種類がある？
引き戸の鍵の種類の基本を知っておきましょう。ご自宅の状況に合わせて、主に以下の3つのタイプが使われます。
- 召し合わせ錠
- 戸先錠
- 簡易錠・補助錠
それぞれを詳しく解説します。
召し合わせ錠（引き違い戸の中央）
召し合わせ錠は、2枚の引き戸が重なる中央部分（召し合わせ部分）に取り付ける鍵です。
日本の住宅（特に一戸建ての玄関）で多く使われているタイプです。内側からスライド式のツマミ（サムターン）で施錠し、外側から鍵で施錠します。
このタイプが故障した場合、防犯性の高いディンプルキータイプのシリンダーを備えた召し合わせ錠に丸ごと交換するのが一般的です。
戸先錠（引き戸の端・取っ手部分）
戸先錠は、引き戸の取っ手がある端（戸の先）に取り付ける鍵です。
鍵を回すと、戸の側面から鎌状のデッドボルトが飛び出し、壁の枠（ストライク）に引っかかって施錠されます。玄関の引き戸のほか、勝手口や防音室など室内の間仕切りにも使われます。
扉の表面に取り付ける面付（つらつき）タイプと扉内部に埋め込む掘り込みタイプがあります。後付けする場合は、加工が少ない面付タイプが選ばれることが多いです。
簡易錠・補助錠（室内・賃貸向け）
玄関ほどの防犯性は不要だが、プライバシーは守りたいというニーズに応えるのが簡易錠です。室内の書斎やトイレ、または賃貸物件での使用に最適です。
特徴は、穴あけ不要の製品が多いことです。両面テープで固定するスライドロックや、ダイヤル式のロックなど数百円から数千円で購入でき、DIYで簡単に取り付けられます。
ただし、あくまで簡易ですので、玄関のメインロックとして使うのは絶対にやめましょう。
引き戸に鍵を後付けする場合の防犯性やプライバシー確保のおすすめは？
今の鍵だけでは防犯性が不安という場合には鍵の後付けが有効です。ただし、どこに、何のために後付けするかで選ぶ鍵は全く異なります。
ワンドア・ツーロック：防犯性を高めるための後付け
玄関の防犯対策の基本は、ワンドア・ツーロック（1つのドアに2つの鍵）です。
引き戸の場合、中央の召し合わせ錠だけでなく、端に戸先錠を補助錠として増設するのが効果的です。侵入犯は時間がかかることを最も嫌うため、鍵が2つあるだけで狙われるリスクを大幅に減らせます。
交換・後付けするなら、以下のタイプがおすすめです。
| 種類 | 特徴 | 防犯性 |
|---|---|---|
| ディンプルキー | 表面のくぼみで開閉する鍵 | 構造が複雑でピッキングに非常に強い（現在の主流） |
| 電子錠（キーレス錠） | 暗証番号やICカード、指紋認証で解錠 オートロック機能（鍵の閉め忘れ防止）付きの製品あり |
鍵穴がないためピッキングされる心配がない |
引き戸の鍵の後付けについて詳しくまとめた記事はこちらをご覧ください。
プライバシー確保のための後付け
テレワーク中に家族に入ってほしくない、トイレに鍵がなくて落ち着かないといった室内でのプライバシー確保には簡易錠が最適です。
特に、両面テープで貼り付けるタイプや引き戸の隙間に挟み込むタイプの簡易錠は壁や柱に一切傷をつけません。
ただし、ふすまのような強度のない戸の場合、簡易錠を取り付けても戸自体が壊れてしまう可能性があります。そのため、設置場所の強度も考慮しましょう。
賃貸物件で鍵を後付け・交換する際の注意点
もしお住まいの家が賃貸物件の場合、鍵の交換・後付けには細心の注意が必要です。原則として、賃貸物件には原状回復（退去時に、入居時の状態に戻す）の義務があります。
勝手に鍵穴を開けたり、既存の鍵を別のものに交換したりした場合、大家さんや管理会社から高額な修繕費用を請求される可能性があります。
どうしても交換・後付けしたい場合は、必ず事前に大家さん・管理会社に許可を取ってください。許可が出ない場合、または退去時のトラブルを避けたい場合は、穴あけ不要の簡易錠を選ぶのが最善の選択肢となります。
引き戸の鍵はDIYで交換できる？専門業者に依頼すべき？
業者に頼むと高いから、DIYで節約したいと考える方は多いです。しかし、DIYに失敗してしまうことも多々あります。
引き戸の鍵こそ、プロに任せるべき理由があります。その理由を詳しく解説します。
DIYで交換・取り付けが可能なケース
まず、DIYが現実的に可能な範囲をお伝えします。それは、以下のいずれかのケースです。
- 穴あけ不要の簡易錠の取り付け
- 今と全く同じ型番の簡易な錠への交換（既存のネジ穴をそのまま使う）
これらをDIYで取り付けるメリットは、費用が部品代だけで済むことです。
専門業者に依頼すべきケース
玄関の召し合わせ錠や戸先錠の交換・後付けは、鍵の専門業者に依頼すべきです。DIYすべきでないのは構造的な以下の理由からです。
採寸と加工がプロ領域
引き戸の鍵は、扉の厚み、切欠き寸法、バックセット（扉の端から鍵穴中心までの距離）などミリ単位での正確な採寸が必要です。違う製品を買ってしまうと、数万円の部品代が無駄になります。
わずかなズレが命取り
引き戸の鍵は上下左右のズレにシビアです。特に引き違い戸の場合、2枚の戸が正確な位置で重ならないと、鍵（鎌）がストライク（錠受け）に正しく収まりません。
素人施工でこのズレが生じると、結局は鍵がかからない、開かないといったトラブルがすぐに再発します。
防犯性が担保できない
プロの施工は鍵の性能を100%引き出すためのものです。取り付けが甘い鍵は、バールなどでこじ開けられた際に簡単に破壊されてしまいます。
家族の安全を守るための玄関錠が、DIYによって穴だらけになっては本末転倒です。
引き戸の鍵が開かない時の修理や交換・後付けにかかる費用相場はいくら？
プロに頼むと費用はいくらかかるのかが最も知りたい点だと思います。
鍵屋の料金は何をするかで大きく変わります。ここでは4つのケース別に、おおよその費用相場を解説します。
鍵開け（解錠）の費用相場
鍵の紛失や故障でとりあえず家に入りたいという場合の解錠作業の費用相場は、8,000円 ～ 30,000円程度です。
鍵の防犯性が高い（ディンプルキーなど）ほど、解錠の難易度が上がるため料金も高くなります。また、多くの業者では深夜・早朝の割増料金が設定されています。
修理・調整の費用相場
原因は鍵ではなく、戸車や建付けだったという場合の費用相場は、8,000円 ～ 35,000円程度です。
もう少し詳細に分けると以下が相場となります。
- 建付け調整だけ：8,000円〜14,000円程度
- 戸車の交換も必要：16,000円〜35,000円程度
この場合、鍵本体は交換しません。そのため、部品代は戸車代のみとなり、比較的安価に根本解決できる可能性があります。
鍵交換の費用相場
故障や経年劣化で、既存の鍵を新しいものに丸ごと交換する場合の費用です。費用相場は30,000円 ～ 50,000円（作業費＋部品代）程度です。
室内の簡易錠交換とは異なり、玄関の防犯性が高い鍵は、作業費（約1.5万円〜）＋部品代（約2〜3万円）がかかると想定しておきましょう。
鍵後付けの費用相場
新しく鍵を増設（ワンドア・ツーロック化）する場合の費用相場は40,000円〜です。
料金例は以下があります。
- 刻みキー（従来型）の後付け相場：43,000円～
- ディンプルキー（防犯型）の後付け相場：52,000円～
これに電子錠などを選べば、部品代だけで数万円（20,000円〜）が加算されます。後付けはどのグレードの鍵を選ぶかで総額が大きく変動します。
引き戸の鍵の修理や交換で失敗しない鍵専門業者の選び方は？
引き戸の鍵修理は、残念ながらぼったくりなどの消費者トラブルが多い業界でもあります。8,000円〜という広告を見て呼んだら、現場で10万円請求されたといった話もよく入ってきます。
しかし、信頼できるかを見極めるポイントがあります。以下のチェックポイントをクリアしている業者を選びましょう。
- 見積もりは作業前で料金確定か？
- 仲介サイトではなく自社施工の業者か？
- 保証（アフターサービス）は付いているか？
それぞれのチェック事項を詳細に解説します。
見積もりは作業前で料金確定か？
これが重要なポイントです。
優良業者は、必ず作業を開始する前に現場の状況を診断し、総額（作業費＋部品代＋出張費）でいくらになるかを明記した見積書を提示します。そして、概算の料金や深夜の割増料金の有無を明確に答えてくれます。
あなたがその金額に納得してサインするまで、まともな業者は絶対に作業を始めません。
一方で、悪徳業者は見積もりなしに勝手に作業を始めます。あるいは「やってみないとわからない」「基本料金8,000円で」とだけ言い、作業後に特殊作業費や部品代などと称して高額な追加請求をしてきます。
作業前の確定見積もりを拒否する業者は、その時点で断ってください。
仲介サイトではなく自社施工の業者か？
あなたがGoogle検索で見つけたサイトは、本当に鍵屋でしょうか？検索上位には鍵屋を紹介するだけの仲介サイト（ポータルサイト）が数多く存在します。
これらのサイトは、受注すると提携している下請けの鍵屋に仕事を流し、紹介マージン（手数料）を取ります。そのマージンは、当然、あなたの支払う料金に上乗せされます。
見分け方として、会社概要のページを確認してください。以下の特徴があるなら、仲介サイトの可能性が高いです。
- 自社住所、代表者名、電話番号が明記されていない
- 自社の住所が架空の住所、またはレンタルオフィスやシェアオフィス
- 全国の加盟店が対応といった文言が目立つ
責任の所在が明確な自社施工の鍵屋を選ぶ方が、料金も適正で後のトラブルも少ないです。
保証（アフターサービス）は付いているか？
交換してもらった鍵が、すぐにおかしくなったと言った場合に保障が必要です。
優良業者は鍵交換や取り付け作業に対し、1年間の施工保証など明確なアフターサービスを提供しています。万が一、施工が原因で不具合が出た場合は、無償で対応します。
悪徳業者は保証がないか、あっても対応が悪いです。作業後に音信不通になるケースさえあります。そのため、作業後の保証書を発行してくれるか必ず確認しましょう。
その他のチェックポイント
他にも以下の項目を確認しましょう。
- 電話対応が丁寧
- 累計作業実績
- 口コミ
口コミを調べる際は、良い口コミだけでなく、料金トラブルに関する悪い口コミがないかを確認しましょう。
まとめ
引き戸の鍵が開かない時の対処法から、鍵の種類、交換・後付けの費用相場、そして最も重要な信頼できる業者の選び方まで解説しました。
引き戸の鍵トラブルで最も大切なことは、焦ってNG行動（間違った潤滑剤や力任せ）を取らないことです。
この記事で解説した応急処置を試しても改善しない場合、それは鍵本体の寿命（経年劣化）か、戸車や建付けの歪みといった専門的な診断と修理が必要なサインです。
特に玄関の鍵は、DIYで無理をすると防犯性を失い、かえって高くつくことになりかねません。
「うちの引き戸はいくらかかる？」「戸車かもしれない」など、どんな些細なことでも構いません。まずは無料のお見積もり・ご相談から、お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
玄関の引き戸の防犯性を高める一番の方法は？
ワンドア・ツーロックの実現と、防犯性の高い鍵（ディンプルキーなど）への交換です。
鍵が1つしかない場合は、補助錠（ディンプルキータイプが望ましい）を後付けすることを推奨します。鍵穴のない電子錠も、ピッキングの心配がなくなり安心です。
鍵を交換したら、火災保険や住宅保険は使えますか？
ケースによります。単なる経年劣化による交換は対象外がほとんどです。
盗難や空き巣による破損で鍵を交換する場合は、保険が適用される可能性が高いです。鍵の紛失については、オプション（特約）に入っていれば適用される場合があります。まずはご加入の保険会社の契約内容をご確認ください。
賃貸で鍵の調子が悪くて交換する場合、費用は大家さん負担ですか？
まずは大家さん・管理会社に連絡してください。
経年劣化による故障や不具合の場合、大家さん（貸主）の負担で修理・交換するのが一般的です。入居者の故意・ご自身の過失による故障（例：鍵を折った）の場合は、入居者負担となります。
勝手に業者を呼ぶと費用負担で揉める原因になるため、必ず先に相談してください。